「ピザって10回言ってみて」と帰国子女に言ってみたら…
こういう言語ネタは私の大好物です。
ああ、言葉って楽しい。
このマンガに出てくる山ちゃん(仮名)は、
小学校~中学校時代をアメリカで生活してきた人です。
短大時代のクラスメイトでした。
今から30年近く前の話で、
まだ今ほどには10回クイズが知れ渡ってない頃のお話です。
山ちゃんにこの10回クイズを仕掛けたのは私の友人で、
その友人の話をもとにマンガにしたものです。
私の友人が山ちゃんに
「ピザって10回言ってみて」
と10回クイズをしかけたら、
ものすごーーーーくキレイな発音で、
「Pizza,Pizza…」
と言い始めたので、
「これはおかしな展開になってきたぞ」
と思ったそうです。
「ピザ」を10回言うことで、
ひじを指さして「ここは?」と聞くと、
「ピザ」に発音の似た「ひざ」と答えてしまうのが
10回クイズの期待される流れなのですが、
キレイな発音の「Pizza」と「ひざ」とでは
かなり発音が違ってしまいます。
10回クイズをしかけた友人は、
山ちゃんはひっかからずに「ひじ」と答えてしまうかもしれない、
と思ったそう。
しかし、山ちゃんの答えは、
「Elbow」
だったわけです。
「 Pizza」 と10回言うと、
ある帰国子女のケースでは英語脳にスイッチが入り、
ひじを 「Elbow」 と答えてしまう、という貴重な実験結果がでました(笑)
この流れだと、
「なによ、帰国子女だからって、英語ができる自慢?」
と言われてしまいそうですが、
山ちゃんはさらっとした子で、
別に英語力をひけらかすこともありませんでした。
「だから日本はダメなんだよ。アメリカはね…」
といったことを言うタイプでもありませんでした。
目立つタイプではなかったように思います。
私たちの学校は都内にあり、
放課後は新宿・原宿・渋谷・六本木とハデに遊ぶ子たちもいました。
山ちゃんは、道に迷った外国人を流ちょうな英語で助けることもあったとうわさで聞きました。
帰国子女だから、とクラスメイトから距離を置かれることもなく、
普段は帰国子女であることがうかがえる言動がほとんど出ませんでした。
そうなると、みんな山ちゃんが帰国子女であることを忘れてしまいます。
その状態で突然、「ザ・帰国子女」な発言を山ちゃんがすると、
「そうだ、山ちゃんは帰国子女だったっけ!」と周りを驚かせる、
といった現象が起きました。
私が通っていたのは美術系の短大で、
入学した年の一学期に思ったのが、
「高校時代にさんざん変わっているといわれてきた私が
このクラスの中だと普通になってしまう」ということ。
私のさらに上をいく変わった人たちがザクザクいたので、
そうなると私レベルの個性では、
「変わってる」なんて誰からも言われません。
あんなに学校が居心地がいい、と思ったこと、
小学校から高校を通じてありませんでした。