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写真館で人工的に作る前ボケ
撮影当日は
写真をやっている者として
写真館のありとあらゆるものが気になりました
照明・背景・大判カメラ…
その中でも特に印象的だったのが
カメラの前に置かれた
黒い紙のようなものでできた謎のブツ！
ライトスタンドの先に
黒のギザギザしたものがくっついていました
「これは前ボケを作るものじゃないかな…？」
そう私は思いました
仕上がった写真は予想を超えてステキなものでした
マンガに描いたように
下にいくにつれ、ふわっとグレーにボケて幻想的な仕上がり
この伊勢丹写真室で使われていた前ボケアイテム、
他のところで観たことがありません。
私は写真館でアルバイトを二度ほどしたことがあって
そのどちらにもこの黒いギザギザの紙でできた前ボケアイテムは
使っていませんでした
大正生まれの祖父母のアルバムを見ると
肖像写真は下部分がボケている表現のものがとても多く
「どうすればこうなるんだろう？」と疑問に思っていましたが
もしかしたら私の卒業写真と同じような方法で撮っていたのかもしれません
黒のギザギザした前ボケアイテム
ネットでも画像が出てきませんし
そもそも名称があるのかどうかもわかりません
フォトショップが普及しきった今では
デジタルで似たような表現を作るのは簡単です
私が卒業写真を撮ってもらった90年代前半は
ちょうどアナログからデジタルに移行しはじめたときでした
Macが100万円くらいで
フォトショップは50万円くらい
メモリが256MBでも「すごい！」と大騒ぎ
そんな時代を通ってきたからこそ
アナログなテクニックで撮影された卒業写真が
とても貴重でいとおしい…
いろいろな意味で思い出深い写真です
新型コロナウイルスで卒業式がなくなっても
せめて
写真館で撮影したらどうかと思いました
友人を集めて撮影すれば
料金も安く抑えられるだろうし…