高畑勲監督の作品はじわじわくる
天人の音楽
スタジオジブリ制作のアニメーション映画「かぐや姫の物語」で
かぐや姫が月に還るときに流れる音楽です
私は「かぐや姫の物語」を観る機会に恵まれず
やっと観れたのが初の著書
『わたしは、こうして“本当の自分”になる。 』の執筆をしていたタイミングでした
初めて本の執筆をしてみてわかったのは
本当に、本当にキツイ作業だということ
2019年の夏に私はアラフィフにして人生初の富士登山をし
無事登頂したのですが
執筆は富士登山よりもキツイ
富士山は頂上があって見えるけれど
執筆の終わりの見えなさったらない
終わりが見えないのがこんなにつらいことだとは…
マンガにも描いているとおり
「かぐや姫の物語」を観たタイミングが
どうにもこうにも原稿が進まない状態に陥っていたときでした
潜在意識に横たわる
自分の気持ちを表現することへの罪悪感
そこに疲労と不安とが折り重なり
入力しては消しを繰り返し
パソコンに向き合えばネットに逃げてしまい
ああもう時間がないのにどうして私ったら…と自己嫌悪
そんなときに観たのが「かぐや姫の物語」でした
奇跡のようなタイミングであの映画を観たと思います
「天人の音楽」で涙が止まらなくなったあと、
この曲を聴いていると
これまでとは比べ物にならないスピードで原稿を書き進めることができて
自分でも怖いくらいでした
私は普段、感情にフタをしていて
フタの下である程度整理されてからでないと
感情が表に出てこないのですが
ときには整理しないままにぶちまけてから
フタの外で整理する方法もアリだと思うのです
特に原稿などは
書いてから整えていったほうが
頭の中でこねくり回すよりは
作業の時間がずっと短くなります
わかっていてもどうしてもそれができない私なのですが、
「天人の音楽」が感情のフタを取り払ってくれた感がありました
今、ジブリの映画で何が一番好きかと聞かれたら
迷わず「かぐや姫の物語」と答えます
かぐや姫の物語は
古い記憶や潜在意識を揺さぶられるシーンがいくつもあり
泣く場面じゃないシーンで涙がこぼれることがあって
そんな自分の反応を楽しみながら観ることができます
私にとって、こんな映画はなかなかありません
ジブリ作品って
人生のどのタイミングで出会ったかで
好きな作品が決まっていくような気がします
「かぐや姫の物語」は久石譲氏の仕事が冴えわたっています
映画に出てくるわらべ唄も
昔から知っていた歌のように
ときどき口ずさんでしまいますね
緑豊かな場所を散歩しているときとか
ぴちっとはまる感じがします