幻覚ではなく錯視
【アモーダル補完】
物体の隠された部分を自動的に脳が補い
全体像を認識するはたらき
私、こういう脳や知覚の不思議な話って大好物で。
アモーダル補完はふんわり知っていました。
アモーダル補完という言葉は、ファッションの話題の中に出てくることがあります。
着痩せして見せるには、
細い部分を見せ太い部分を服で隠すと、
全体が痩せて見える、という現象がおこります。
これはアモーダル補完の一例です。
大前光市さんという義足のダンサーと、
光沢のある黒い舞台と、
かなり光量を落とした照明。
舞台が足を隠しているような状態になったため、
私の脳は自動的に足を補ってしまったようです。
足が見えた、というより、ないはずの足の存在を感じたので、
あれはアモーダル補完だったのだろうと思います。
そしてほんの一瞬、舞台が水面に見えて、
大前光市さんが、
まるで水鳥のように水面に浮かんでいるように見えた現象。
舞台を観終わってから、
「これも幻覚ではなくて、なんらかの知覚現象として説明できるはず」
そう考えて、調べまくってたどり着いたのが【クロスモーダル現象】
【クロスモーダル現象】
実際には存在しないものを脳が補ってしまう現象
(経験が影響すると言われる)
クロスモーダル現象を探し当てたときは、
知的好奇心が満たされてうっとりしました。
この舞台を観ていて私に起こったのは、
アモーダル補完がクロスモーダル現象を引き起こした、
ということなのでしょう。
舞台が水面に見えたのは、
私が生きてきたさまざまな経験が影響していると考えられます。
マンガでは、
“アモーダル補完で足を補うと
舞台を突き抜けて足が存在することになる
そのつじつま合わせのために舞台を水面と錯覚してしまった”
と書きましたが、
それだけではなく、
学生時代から読んでいる有吉京子先生のマンガの刷り込みの影響があったと思われます。